雑木の庭でつくる、心地よい空間 ④

雑木の庭でつくる、心地よい空間 ④

こんにちは。FORUMの大原です。

冒頭から本題ではない話になるのですが・・・
先日、数年前に流行った『スタンフォード式 最高の睡眠』という本を今さらながら読みました。
かなり有名な本なので、きっと読んだことのある人も多いと思います。

「よい睡眠には、よい覚醒が必要」とのことで、最近はすっきり目覚めるために、毎朝カーテンを開けて朝日を数分浴びるようにしています...!
ありがたいことに今の家はリビングの窓が南向きのため、いつも明るい日差しが入ってきます。

やはり日当たりの良い家というのは、魅力的に感じますよね。
不動産のチラシなどを見ていると「人気の南向き!」と大きな文字で書かれていたりと、家を検討する際に方角は大事な要素として考えている人が多いと思います。

今回は、その方角に焦点を当てて「東西南北の植栽配置のポイント」について書いていきたいと思います!

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©photograph_Takuya Yamauchi

理想的な住環境を狭い住宅地の中でつくるためには、東西南北4面の外空間をフルに活用することが重要になります。
それぞれの方角でどのような植栽が効果的なのか、1つ1つ見ていきましょう。

最初に、「東側」における植栽についてです。

東側は午前中の日差しを室内に届けてくれます。
仮に寝室に東側の窓がある場合は、朝に雨戸やカーテンをあけると、その後夕方まであけたままにする人が多いと思います。
そのため夏は日差しを遮断し、冬は日差しを取り込む工夫が必要になります。

また、隣家と密接した住宅地や人通りのある道に面している場合は、カーテンをあけても周囲の目線が気にならないような配慮も必要です。

たとえば1階リビングに東側の窓があるなら、歩く人の目線から窓が隠れるように高さ2m程度で枝葉が軽めの常緑樹を配置します。

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©photograph_Takuya Yamauchi

よく目隠しばかりを重視して、生け垣のような重い植栽にしている家がありますが、それでは開放感や明るい空間が損なわれてしまいます。
庭ではなく外周であったとしても、枝葉越しに透けて見える程度の植栽にすることで安心感と開放感の両方を持った空間にすることができます!

次に、「南側」の植栽についてです。

一般的に南庭は屋外リビングとして、あるいは室内からの鑑賞を重視した主庭とするケースが多く見られます。

屋外リビングスペースを落ち着きのある空間にするには、前回のブログに書いた「中間領域」と呼ばれる部分をつくることが1つ目のポイントになります。
具体的には、リビングの窓の前にテラスなどをつくります。

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©photograph_Takuya Yamauchi

2つ目のポイントは、テラスの両わきに樹木群をつくることです。
夏にはテラスが枝葉の木陰となり、地面が冷却され家を涼しくしてくれます。
また1階から見ると、奥行きのある景色を眺めることができます。
このように、木立が生み出す遠近感をうまく活かすことで、狭いながらも心地よい空間をつくることができます!

次に、「西側」の植栽についてです。

高い角度から日が差し込む南側と違い、西日は低い角度からダイレクトに日が差すため、庇(ひさし)などで防ぐことができません。
しかし実は、「夏は涼しく、冬は暖かい」住まいを実現する鍵を握っているのは、西側の植栽なのです...!

西側は主に落葉樹を中心に植栽することで、側面から差し込む夏の西日を遮断することができ、さらに冬は日差しを取り込むことができます。

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©photograph_Takuya Yamauchi

現代の住宅では、西側に植栽スペースを設けず、夏の西日を防ぐために西側の窓を減らしてしまいますが、それでは冬の日差しを十分に活かせません。
夏涼しく冬暖かくするためには、西側に窓を設置し、なおかつ植栽スペースを設けることがとても重要なのです!

最後に、「北側」の植栽についてです。

北側こそ植栽は必要ないのでは?と考える人が多いと思います。
ですが、西側と同様に北側の植栽も大切な役割があります!

実は家の陰となる北側も、夏の正午には2階建てでも1m余りしか日陰は伸びません。
もし木立があれば、夏には北側の大きな木陰によって地面が冷やされ、その冷えた地面を抜ける風の温度を効果的に下げてくれます。
この冷気は、家の南側の日なたで起こる上昇気流に引っ張られて、北側の窓から室内を通り抜けます。

さらに北側の植栽は、夏の冷却効果だけでなく、冬に吹きつける冷たい風を防ぐ防風林としての役割も果たします。

昔はこうした性質を当然のように利用して、家が建てられていたそうです。
以前投稿したブログでも書きましたが、現代の住宅は住宅性能や空調の効率性ばかりに目を向けており、それらを追求するばかりに殺風景な街並みが増えている印象です。

しかし最近はコロナでおうち時間が増えたこともあり、木々を活かして自然を感じられるような、美しくかつ快適な住環境が求められてきています。
雑木の庭は、そのような空間をつくれる可能性を秘めています。

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©photograph_Takuya Yamauchi

「雑木の庭でつくる、心地よい空間」をテーマに①~④までブログを書きましたが、もし今後家を建てようと考えている人がいれば、ぜひ本ブログも参考にして雑木の庭を選択肢に入れていただければなと思います(^^)

※本ブログに掲載の写真画像は全国各地のGARDENS GARDEN ネットワーク加盟工務店が施工した物件を撮影したものを同ネットワーク全体の広告宣伝のために使用しているものであり、当該物件が特定の工務店等の施工物件であることを保証するものではありません。